序文 (奈良の現状を嘆く)
上古の世 未だ文字なき時 貴賤 老少問わず 口伝あり 古言 遍く伝わり 忘れず……
先祖の古文書の写し(伊奘諾イザナギと伊奘冉イザナミの二神)
一聞、夫 開闢の初めに 伊奘諾イザナギと伊奘冉イザナミの二神 共に夫婦となりて……
先祖の古文書(天御中主神アメノミナカヌシ)
天地割判の初め 天中に現れた天御中主神アメノミナカヌシ 次に 高皇産靈タカミムスビ神 《古語 多賀美武須比タカミムスビ これは……
先祖の古文書(素戔嗚スサノオ神)
於是に 素戔鳴スサノオ神 日神ヒノカミ《天照大神アマテラスオオミカミ》に辞奉げ 天昇る際 櫛明玉クシアカルタマ命 迎へ 瑞々弥栄瓊曲玉献ず……
先祖の古文書(素戔鳴神の奇行)
其後 素戔鳴スサノオ神 日神ヒノカミに奉仕せしも其所行 甚だ無状にて 種々の凌辱加へる……
先祖の古文書(天災 火山噴火)
天照大神アマテラスオオミカミは赫々として怒り 天の石窟に入り 磐戸を閉じて幽居せらる……
先祖の古文書(火山噴火の鎮魂)
思兼オモイカネ神 深慮し議して曰く 「太玉フトタマ神に諸部の神々を率いて和幣を造らせるべし」 仍って 石凝姥イシコリドメ神……
先祖の古文書(天の岩戸開き)
思兼オモイカネ神の議に従ひ 石凝姥イシコリドメ神に日像之鏡鋳造せしむ 初鋳造之鏡 少し意に合はず《是紀伊国日前神なり》……
先祖の古文書(空に光が戻る)
当該の時 上天は初めて晴れ渡る 衆は互いに顔を見合わせ 面は皆明白となる 手を伸ばし歌い踊り 相与に称して曰く……
先祖の古文書(八岐大蛇 物語の原形)
素戔鳴スサノオ神は天より降りて 出雲国いずものくにの簸の川上に至る 天の十握釼を用いて その名は天羽々斬あめのはばきり 今は石上神宮にあり……
先祖の古文書(大国主神)
大己貴オオナムチ神と少彦名スクナビコナ神(高皇産靈タカミムスビ尊之子 遁常世国出身) 共力合わせ 一心に天下経営に励みけり……
先祖の古文書(出雲の国譲り)
天祖吾勝アカツ尊 高皇産靈神タカミムスビノミコト之女 栲幡千千姫命タケハタチヂヒメノミコト娶り 天津彦尊アマツヒコノミコト生む 是を皇孫命と号す……
先祖の古文書(出雲の国譲り2)
葦原瑞穗国は 我が子孫が治めるべき地 皇孫 彼の地に赴き 治むべし 宝祚の隆盛 天地と共に無窮なり……
先祖の古文書(猨田彦大神)
既に天孫降る間に 先駆還って白す。 一神天八達衢居り 鼻長七咫 背長七尺 口尻明輝 眼八咫鏡如し。即ち 従神遣わし 其名問う。八十萬神々皆 該神見る能わず。……
先祖の古文書(海幸彦 原形)
天祖彦火ヒコホホデミ尊 海神の娘 豊玉姫トヨタマヒメ命と結び 彦瀲ヒコナギサ尊を生む 誕育の日 海辺に室を建つ……
神武天皇の世(神武天皇・東征)
神武天皇東征の年に際し大伴氏オオトモウジ 遠祖 日臣命ヒノオミノミコト元戎督し 兇渠剪除す 佐命功 比肩する者なし……
神武天皇の世(神武天皇・橿原かしはら宮建築)
仍って 天富命アメトミノミコト(太王命フトオノミコトの孫なり)に命じ 手置帆負命テオキホオミノミコトと彦狹知命ヒコサチノミコトの孫を率いさせ 正殿を構築する……
神武天皇の世(神武天皇・橿原かしはら宮建築2)
爰に 皇天の二組の詔に従い 神籬を建樹する所謂 高皇産靈神タカミムスビノカミ・ 産靈魂留ムスビノタマトメ・産靈生ムスビノイクメ・産靈足ムスビノタリ・産靈大宮賣神ムスビノオオミヤウリノカミ……
神武天皇以後の世(神宝を天皇に献上)
天富命 齋部諸氏と共に神宝を作り 櫛明玉命の孫 御祈玉を造る 《古語 美保伎玉ミホギタマ 祈りの言葉》……
神武天皇以後の世(天津祝詞・大祓詞)
日臣命ヒノオミノミコトは 來目部クメベを率いて宮門を衛護しその開閉を掌る 饒速日命ニギハヤヒノミコトは 内物部ウチモノノベを率いて矛盾を造備する
神武天皇以後の世(神武天皇・皇室の貴重な品々)
当該の時 帝と神の間はまだ遠くなく 同じ殿で共に床を共にし これを常とする 故に 神の物と官の物も未だ分別されず……
神武天皇以後の世(大祓詞の謎解き)
又 天富アメノトミ命に命じて供作諸氏による大幣おおぬさ造作完成せしめ 天種子アメノタネコ命(天兒屋アメノコヤ命之孫)に天罪・国罪事解除せしむ……
神武天皇以後の世(天岩戸の直後)
磯城瑞垣の朝に至り漸く神威を畏れ 同殿に安らぐこと能わず 故に 更に齋部を率い 石凝姥神イシコリドメノカミの裔と……
神武天皇の世(天岩戸と卑弥呼)
卷向玉城之朝まきむくたまきのあさひに至り 皇女・倭姫命ヤマトヒメ(卑弥呼のこと)に天照大神アマテラスオオミカミの奉齋命ず 仍って神の教えに従い 伊勢の五十鈴川上に祠立て 齋宮興し……
歴代天皇の世(邪馬台国の場所)
纏向日代の朝に至り 日本武命ヤマトタケルノミコトに東夷の征討を命ず 仍って 伊勢神宮に枉道詣でし 倭姫命ヤマトヒメノミコトに辞を述べ……
歴代天皇の世(住吉大神)
磐余稚櫻朝に至り 住吉スミヨシ大神顕れる 新羅征伏し 三韓初めて朝貢す……
歴代天皇の世(秦 漢 百済の帰化)
輕嶋豊明朝に至り 百済の王 博士王仁を貢ぎ 河内文首の始祖となる 秦の公祖弓月 百廿の県の民を率い帰化す 漢の直祖・阿知使主 十七の県の民を率い来朝す……
歴代天皇の世(三韓貢獻)
後磐余稚櫻朝に至り 三韓の貢献奕世に絶えず 齋蔵の傍に内蔵を建て 官の物を分け収める……
歴代天皇の世(秦氏)
長谷朝倉の時において 秦氏分散し 他族に寄隷す 秦の酒公 寵を蒙り 詔により秦氏を集め……
神武天皇〜光仁天皇の世(太玉の系統)
小治田朝に至り太玉フトタマの胤は絶えることなく 帯の如し 天の恩により 興廃繼絶の間もなく その職を供する……
天智天皇の世(飛鳥時代・小花下)
難波長柄豊前朝 白鳳四年に 小花下おかのしたの諱を持つ 齋部の首 賀斯として拜され 祠官頭に任ぜられし 王族 宮内の礼儀……
聖武天皇の世(奈良時代・氏姓制度)
淨御原朝 天下の民を改め 八等に分ける 年功を基にせず 天授の業を根とせず……
文武天皇の世(飛鳥時代・記録文書)
大宝の年中に至り 初めて記文あり 神祇の簿 明確な案なし 望秩の礼 その式未だ制せず……
聖武天皇の世(奈良時代・神々の帳簿)
天平の年中 神帳の勘造行われ 由緒あるものは 小祀たりとも列に加え 縁なきものは 大社たりとも廃す……
歴代天皇の世(日本神話の機密流出事件)
天降より始まり 東征に至るまで 扈従する群神の名 国史に顕著なり 功を録し酬庸を与えるに 祀典に預かる……
歴代天皇の世(草薙の剣)
草薙剣は 最も尊い天の璽 日本武尊の凱旋後 熱田社に安置 盗賊 境界越えず 神の威力 顕著……
歴代天皇の世(尊祖敬宗)
祖を敬い 宗を尊ぶは礼の根 故に 皇の即位に際し 先祖に倣い 天に祈り 六宗に望み……
歴代天皇の世(伊勢宮司)
天照大神は 帝と同じ殿に居られる 故に 供奉の儀は 君と神が一体となり 天より始まる……
歴代天皇の世(伝統軽視の警告)
凡そ 神殿や帝殿の造りには 神代の職に従うべし 斎部官は 御木と麁香の二郷の斎部を率い 斎斧で伐り 斎鉏で掘る……
歴代天皇の世(御門に格下げ)
殿祭門祭は 本来太玉命の供奉の儀で 斎部氏の所職なり 然れども 中臣と斎部は共に神祇官を任じ……
歴代天皇の世(八位官に格下げ)
神代より 中臣・斎部は神事の供奉に差降らず 中間以来 権は一氏に移り……
歴代天皇の世(大宰の主神司)
諸神の奉幣ほうへい(供え物)は 中臣と斎部が共に預かるものなり 然るに今 大宰の主神司は……
歴代天皇の世(諸国の大社)
諸国の大社において 中臣のみが任じられ 斎部は預からず これが遺憾の八つ目なり……
歴代天皇の世(鎮魂之儀)
凡そ 鎮魂たましずめの儀よそひは 天鈿女命の遺のこんの跡なり……
歴代天皇の世(大幣おおぬさを造る者)
大幣おおぬさを造る者は 神代の職に依り 斎部の官が供作の諸氏を率い……
歴代天皇の世(勝寶九歳)
勝寶九歳の時 左辨官の口宣により 「自今以後 伊勢太神宮の幣帛使は 専ら中臣を用い 他の姓を差し置くべからず」とされた……
出雲 (大国主命と卑弥呼)
昔 神代に大地主神が田を営む日 牛が食田人を傷つける その時 御歳神の子 田に至り唾を饗し 状を父に告げる……
我が国家に神はいる (結びの文)
神代の事 盤古の説に似て 信じ難し 然れども 我が国家の神物の靈蹤は今も尚存し 触れる事に効あり 虚と言うべからず